第7回「飲み込みが悪くなったときにできること」

公開日:2022/11/17

 一般的に、飲み込みが悪い状態とは次の2つが考えられます。1つは、食べ物がのどに入って食道に入っていくときに、その手前にある気管にものが入らないようにしている蓋の動きが、悪くなったり動かなくなったりすること。もう1つは、食道の入り口の開きが悪くなることです。このようなとき、食物などが口からスムーズに食道に入らず、のどに残ってしまったり、気管に落ちてしまったりして誤嚥を生じます。
 今回は、このような状態になった時の対応として次の3つの側面から考えていきます。1つは、のどの動きを良くしていくこと(機能の向上)、2つめは食べ物の形態を機能に合わせていくこと、そして3つめは食べ方を注意していくことです。

1 のどの動きを良くする

飲み込みの障害にも様々な原因があり、その状態、重症度は人によって異なります。したがって、誰でも「こういう訓練をすれば大丈夫」というものはありません。しかし、嚥下訓練によって飲み込みが良くなる方はいます。代表的なものとして「嚥下おでこ体操」図1)があります。これは飲み込むときの筋力を鍛えます。しっかり理解をしていただいて実践できれば、特別な器具を必要とせず、大きな効果が期待できます。
他にも、気管に食べ物や飲み物が落ちたとしても、しっかりと出すための訓練として吹き戻しがあります。吹き戻しとは、縁日などで売られているピロピロ笛で、呼吸筋を鍛えてくれます。最近では、訓練用の吹き戻しも発売されています。

図1)嚥下おでこ体操

2 食べ物の工夫

食べ物の工夫もいくつかありますが、代表的な例を挙げると「トロミ」をつけること。気管に蓋をするという機能が低下して、蓋が間に合わずに食べ物が気管に落ちていくケースが多くあります。したがって、食べ物がのどを通過するスピードを緩やかにして、蓋のタイミングに合わせます。そのための1つの対応として食べ物や飲み物にトロミをつけます。要は、蓋をするための時間稼ぎです。
ここで重要な注意点があります。その方の飲み込みの機能によって薄いトロミがいい方、濃いトロミがいい方、またはその中間がいい方がいます。つまり、その方の機能に合わせたトロミの調整が必要になります。
他にもパサパサしたものだと飲み込むときにのどにへばりついたりすることがあります。皆さんも焼き芋のようなものを食べるとき、のどにつかえるような感じがしませんか?このようなときはバターやマヨネーズなどを和えることによって滑りがよくなり、飲み込みやすくなったりします。

3 食べ方の注意

飲み込みが悪い方が、食べることに集中していないでムセたり誤嚥を起こすようなことがあります。テレビを見ながら、話をしながらの「ながら食い」、良く飲み込めていないのに口にどんどん食べ物を詰め込んでいくような「早食い」、よく噛まずに飲み込もうとする「丸飲み」は避けましょう。一口量は少なく、しっかり飲み込んでから次の食べ物を入れるようにしていきます。またムセてしまったらしっかりと咳をして出してもらい、中途半端な状態で食事の再開をしないようにします。

 

このように、飲み込みが難しくなった時にはいくつかの対応法があります。もちろん、しっかり訓練をして飲み込みが良くなるということが理想ですが、すべての方がそのようになるわけではありません。状況として訓練が難しい方もいます。そのようなときは、飲み込みやすい食形態で提供し、正しい食べ方で食べていくこと、さらに、以前お話ししたように食べる姿勢を整えて食べることも重要です。

次回は、口から食べるためにできる訓練についてお話しします。

歯科医師 五島朋幸

 

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