高齢者の便秘とは?原因と6つの対策、受診の目安や介助のポイントを解説
公開日:2026/10/23

「便が3日も4日も出ていないけれど、いつまで様子を見ていいのだろう」「便秘に苦しむ高齢者に家族ができることはないだろうか」
在宅で介護をしていると、排便のことで判断に迷う場面が続きます。ご本人がおなかの張りを訴え、食欲まで落ちてくるとご家族の不安は大きくなるものです。
この記事では、便秘の定義から便秘が高齢者に多い原因、家庭でできる6つの対策、医療機関を受診すべきサインなどを解説します。ご本人のつらさを和らげるだけでなく、ご家族の介護の負担を減らすためにも、ぜひ参考にしてください
高齢者は便秘になりやすい
加齢とともに便秘を訴える人は増えていきます。まずは「どのような状態を便秘と呼ぶのか」を確認したうえで、高齢者と便秘の関係を見ていきましょう。
そもそも便秘とは
日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023」では、便秘を「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」と定義しています。
簡単に言うと、「便が硬くて回数が減っている状態」だけでなく、「すんなり出せない」「出しきれずスッキリしない」といった状態も便秘に含まれます。
便秘というと「便が何日も出ない状態」をイメージしがちですが、それだけではありません。強くいきまないと排便できない、出しきれた感じがしないといった「便の出しにくさ」も、便秘の症状のひとつです。
また、こうした症状が6か月以上前からあり、最近3か月間に診断基準を満たしている場合は、慢性便秘症と診断されます。
加齢によって便秘が起こりやすくなる
厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」について、便秘を訴えている人は人口1,000人あたり65歳以上では64.4人で、全年齢の32.7人と比べて約2倍です。
この結果からも、高齢になるほど便秘を訴える人の割合は高くなることが分かります。
また、先述したガイドラインでも、加齢とともに男女ともに便秘の有訴者率が上昇し、70歳以降になると性差が認められなくなります。そのため、 若い年代では女性に多い便秘も、高齢になると男女を問わない身近な悩みになると言えるでしょう。
慢性的な便秘は健康状態や生活の質に影響する
慢性的な便秘になると、おなかの張りや不快感などの症状だけでなく、食欲や睡眠、外出への意欲にも影響することもあります。
また、慢性的な便秘は、心臓や血管の病気、脳の血管の病気などとの関連も報告されています。排便時に強くいきむことで、一時的に血圧が上昇することもあり、心臓や脳の血管に負担がかかる可能性があるためです。
ただし、便秘がこれらの病気を直接引き起こすとは限らず、詳しい因果関係は明らかになっていません。
便秘が長く続いている、症状が強い、生活に支障をきたしているといった場合には、放置せず医療機関に相談しましょう。原因を確認したうえで、必要に応じた治療を受けることが大切です。
高齢者の便秘の主な原因

高齢者の便秘は、ひとつの原因で起こるとは限りません。食事や水分の不足、薬の影響など、いくつかの要因が重なって起こることがあります。「年齢のせいだから仕方ない」と考える前に、普段の生活を振り返ってみましょう。
食事量や食物繊維の摂取量が減っている
食事量が減ると便の材料も少なくなるため、便秘につながりやすくなります。
高齢になると、食欲が落ちたり、噛む力や飲み込む力が弱くなったりして、食事量そのものが減ることがあります。また、味覚の変化によって、食べるものが変わることもあるでしょう。
一食あたりの量が少なくなれば、便のもととなる食物繊維や水分の摂取量も減少しがちです。さらに、あっさりしたものを好むようになり、野菜や海藻、豆類など食物繊維を多く含む食品が食卓から減るケースもあります。
水分摂取量が少なくなっている
水分が不足すると便が硬くなり、排便しにくくなることがあります。
高齢者では、喉の渇きを感じにくくなり、気づかないうちに水分摂取量が減ることがあります。
また、「トイレが近くなるのが困る」「夜中に起きたくない」といった理由から、水やお茶を飲むのを控える方も少なくありません。自分でコップを持つことが難しい場合には、介助してもらう必要があるため、水分をとる機会が減ってしまうケースもあるでしょう。
こうした水分不足が続けば、便に含まれる水分も少なくなり硬く出しにくい状態につながります。
運動量や身体活動が低下している
身体活動が減ると腸への刺激も少なくなり、便秘につながる場合があります。歩いたり身体を動かしたりすることは、腸の動きを促す刺激のひとつです。しかし、介護が必要になると外出する機会が減り、家の中でも移動することが少なくなる傾向にあります。
特に寝たきりや車椅子で生活している場合には、運動不足が便秘の一因になりやすいでしょう。
腹筋や骨盤底筋などの筋力が低下している
腹筋などの筋力が低下すると、便を押し出す力が弱くなり、排便しにくくなることがあります。
便を出すときには、おなかに力を入れて「いきむ」動作が必要です。加齢や身体を動かす機会の減少によって腹筋などが弱くなると、便を押し出す力も弱くなる可能性があります。
さらに、便を出す力だけが原因とは限りません。便意を感じるための直腸の感覚や、いきむ力と、便を出すときに肛門をゆるめる動きがうまく連動せず、排便しにくくなることもあります。
便秘を起こしやすい薬を服用している場合もある
便秘は、普段飲んでいる薬の影響で起こる場合もあります。
便秘につながる可能性がある薬には、痛み止めの一種であるオピオイドや、一部の抗うつ薬、抗精神病薬などがあります。ほかにも便秘に影響する薬があり、複数の薬を飲んでいる高齢者では、薬の影響が重なり便秘になりやすいです。
「薬を飲み始めてから便秘になった」「以前より便が出にくくなった」という場合は、薬が便秘に関係している可能性も考えてみる必要があります。
便意を我慢する習慣が便秘につながることがある
便意を繰り返し我慢すると、排便のタイミングを逃し、便秘につながる場合があります。
「介助を頼むのが申し訳ない」「間に合わなかったら恥ずかしい」という遠慮から、便意を我慢する高齢者もいます。
便意を感じたときに排便を我慢する習慣が続くと、便意を感じにくくなり、排便のタイミングを逃しやすくなるでしょう。特に、認知機能や身体機能が低下している高齢者では、便意を感じても自分だけではトイレまで移動できず、結果として便秘につながりやすくなります。
高齢者の便秘でみられる症状
便秘のサインは、「何日便が出ていないか」だけではありません。 便の状態や排便時の様子、おなかの変化などにも目を向けることが大切です。ご本人が便秘とうまく伝えられない場合もあるため、次の視点から普段の様子を確認してみましょう。
便が硬い・コロコロしている
便の形や硬さは、便秘に気づくための分かりやすいサインです。
医療現場では、便の形を1(最も硬いコロコロ便)から7(最も柔らかい水状の便)までの7段階に分ける「ブリストル便形状スケール(BSFS)」という指標が使われます。

このうち、硬い便にあたるのが「タイプ1」と「タイプ2」です。タイプ1は「小塊が分離した木の実状の硬便」で、うさぎのふんのようにコロコロした便を指します。タイプ2は「小塊が融合したソーセージ状の硬便」で、表面がでこぼこした便です。
慢性便秘症の診断基準では、タイプ1またはタイプ2の便が排便の4分の1を超える頻度でみられることが、診断基準の項目のひとつになっています。
おむつやトイレを確認するときは、「出たかどうか」だけでなく、便の形や硬さにも注目してみましょう。
排便回数が減っている
自分の力で排便する回数が週3回未満になることも、便秘のサインです。
ここでいう「自発的な排便」とは、下剤や浣腸などを使わずに出た便を指します。そのため、下剤を使って週3回程度排便している場合は、排便回数が少ない状態と考えられます。
ただし、排便回数だけで便秘かどうかを判断することはできません。
排便時に強くいきむ
強くいきまないと便が出ないことも、便秘のサインのひとつです。
ご本人が「出にくい」と訴えなくても、排便に時間がかかる、顔を赤くして力んでいる、息を切らしているといった様子から気づけることもあるでしょう。強くいきむことで血圧があがったり、便が出ることで血圧が下がったりなど身体への負担にもなるため、こうした様子が繰り返しみられる場合は注意が必要です 。
残便感がある
便を出したあとも「まだ残っている」と感じる場合も、便秘のサインです。
実際に便が残っている場合だけでなく、直腸の感覚の変化によって、排便後も残っているように感じることがあります。認知症などで自分の感覚を言葉にするのが難しい方では、排便後も何度もトイレに行きたがる、なかなか落ち着かないといった行動がみられることもあります。
お腹が張る・腹部に不快感がある
おなかの張りや不快感も、便秘に伴ってみられる症状です。
おなかがぽっこり張っている、苦しそうにしている、食欲が落ちているといった変化があれば、便秘が影響している可能性もあります。
排便の状況と食事量の変化を一緒に確認すると、普段との違いに気づきやすくなります。
便が出ているのに便秘の場合もある
毎日便が出ていても、便秘の可能性はあります。
便秘の診断では、排便回数だけでなく、便の形状や強くいきむこと、残便感、排便のしにくさなども確認します。つまり、「毎日出ているから大丈夫」とは限りません。
高齢者の便秘はどうすればいい?改善する6つの対策
家庭でできる対策は、食事、水分、運動、習慣、環境、薬の6つに整理できます。すべてを一度に始める必要はありません。今のご本人やご家族の状況を考えて無理なくできるものから取り入れてください。
1.食事量と食物繊維を見直す
まずは、食べている量そのものを確認してみてください。食事量が減ると、便の材料となる食物繊維などの摂取量も少なくなり、便秘につながることがあります。高齢になると、食欲が落ちたり、噛む力や飲み込む力が弱くなったりして、以前より食べる量が減ることもあります。
食物繊維を多く含む食品には、野菜、果物、豆類、海藻、きのこ、玄米や麦ごはんなどがあります。一品まるごと増やすのが難しい場合は、汁物に野菜を足す、ごはんに麦を混ぜる、間食を果物やヨーグルトに替えるといった方法が取り入れやすいでしょう。
「日本人の食事摂取基準」では、75歳以上の食物繊維の目標量は、男性で20g以上、女性で17g以上とされています。毎日の食事でどの程度とれているかを考える際のひとつの目安です。
もともと食が細い方の場合は、食物繊維を増やすことよりも、まず食べられるものをしっかり食べてもらうほうが優先されるケースもあります。無理に特定の食品を増やすのではなく、普段の食事量や体調に合わせることが大切です。
2.水分摂取を見直す
水分は、一度にたくさん飲むより、こまめにとることを意識しましょう。
たとえば、起床時、食事のとき、おやつの時間、入浴の前後などのタイミングで飲む機会をつくると、自然に回数と量を増やしやすくなります。水やお茶が進まない場合は、みそ汁やスープ、ゼリー、果物など食事からとれる水分も含めて考える必要があります。
ただし、心臓や腎臓などの病気を理由に医師から1日の水分量について指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
3.無理のない範囲で身体を動かす
歩くことが難しくても、できる範囲で身体を動かすことが大切です。
歩ける方なら、散歩や買い物への同行、ラジオ体操などを生活に取り入れやすいでしょう。また、ベッドから起き上がるのが難しい方でも、膝の曲げ伸ばしや足首を回す運動、腹式呼吸などで身体を動かせます。
大切なのは運動の強さではなく、生活で少しでも身体を動かす機会をつくることです。
4.毎日の排便習慣を整える
排便のタイミングをある程度決めることで、排便習慣が整いやすくなると言われています。
食事をとったあとには腸が動きやすくなるため、起床時や朝食後など同じ時間帯にトイレへ行く習慣をつくる方法があります。便意がない場合でも、無理のない範囲で便座に座る時間を設けることで、排便のリズムがつきやすくなるでしょう。
同時に意識したいのが、便意を我慢しないようにすることです。「今は忙しいから後で」「トイレに行くのはちょっと待って」といった場面が続くと、ご本人もトイレに行きたいと言い出しにくくなるため、便意を訴えたときには、できるだけ早めに対応できる環境を整えておきましょう。
5.排便しやすい姿勢・環境を整える
排便するときの姿勢やトイレ環境を整えるだけで、便が出しやすくなる場合があります。
便座に浅く腰かけ、上体を少し前に倒し、足の裏を床につけると、身体が安定していきみやすくなります。 足が床に届かない場合は足台を使い、立ち座りがつらい場合は手すりを活用するのも方法のひとつです。
6.便秘薬は自己判断で増量せず、医師に相談する
便秘薬の量を、ご家族の判断で増やしたり減らしたりすることは避けてください。
「便秘にあまり効かないようだから2錠に増やす」「昨日便が出なかったから今日は多めにする」といった調整は、思わぬ副作用につながる可能性があります。どの薬が、どのくらいの量が適しているかは、便秘の原因や身体の状態、持病、ほかに飲んでいる薬などによって異なるため、医師に相談して判断しましょう。
また、薬について相談するときには、「何日出ていないか」「どのような便が出たか」「下剤を使ったか」といった情報を伝えると、状況を判断する材料になります。
寝たきりや車椅子の高齢者ができる便秘対策

自力で歩けない方でも、便秘対策として取り入れられることはあります。腹部へのやさしい刺激、ベッド上での運動、姿勢を変えることなど無理のない範囲で試してみましょう。
おなかを「の」の字にやさしくマッサージする方法もある
腹部をさする方法は、家庭でも取り入れやすいケアです。
おへそを中心に、大腸の流れに沿って右下から時計回りに「の」の字を描くように、手のひら全体でやさしくさすります。指先で強く押すのではなく、面で温めるようなイメージでおこなうのがポイントです。
強さは、ご本人が痛みを感じない程度にとどめましょう。表情がこわばる、身体に力が入る、痛みを訴えるといった反応があれば、その場で中止してください。
ベッドの上でできる無理のない運動を取り入れる
ベッドに横になったままでも、身体を動かせる場合があります。
たとえば、仰向けのまま足首をゆっくり曲げ伸ばししたり、足首を回したりする運動なら、比較的取り入れやすいでしょう。膝を曲げ伸ばしできる方は、片脚ずつゆっくり動かす方法もあります。また、おなかに手を当て、息を吸うとおなかをふくらませ、吐くとへこませる腹式呼吸も取り入れやすい方法のひとつです。
どの程度まで身体を動かしてよいか迷うときは、主治医や理学療法士に相談すると安心です。
座る時間・立つ時間を1日の中につくる
長時間同じ姿勢で過ごさないことも、身体活動を増やす方法のひとつです。
ベッドの背もたれを上げて起き上がる、車椅子へ移乗する、食事を座ってとるなどの動きを意識してつくるだけでも、身体を動かす機会になります。
ただし、無理な立ち上がりや移動は転倒につながります。ふらつきの程度を確認し、必要に応じて介助を受けながら安全を優先してください。
自宅でも安全に過ごせるようにするには?気になる方はこちら⇩⇩
トイレでの姿勢と環境を整えて排便しやすくする
排便のしやすさは、便の状態だけでなく、姿勢や便座の高さ、トイレまでの移動のしやすさ、周囲への気兼ねにも影響されます。身体の状態に合わせて環境を整えましょう。
前かがみになり、足を安定させる
便座では上体を軽く前に倒し、ひじを太ももの上に置くと姿勢を保ちやすくなります。足裏が床につかない場合は足台を使用しましょう。ただし、前傾するとバランスを崩すこともあるため、手すりを活用し、必要に応じて見守ります。
便座や足台を本人に合わせて調整する
足が床に届かない場合は足台を使い、膝や腰の痛みで立ち座りが難しい場合は補高便座も検討します。排便のしやすさだけでなく、安全に座り、立ち上がれることも重要です。トイレまでの移動が負担なら、ポータブルトイレも選択肢になります。
長時間いきみ続けず、出なければいったん切り上げる
便が出ないからといって、長時間いきみ続ける必要はありません。
疲れたり苦しくなったりした場合は、いったん切り上げて時間をあけましょう。
トイレに行けない場合は排泄方法そのものを見直す
移動に時間がかかって便意に間に合わない、夜間の移動が危険な場合は、ポータブルトイレなども選択肢になります。ただし、どの方法が本人に合っているか判断に迷う場合は、ケアマネジャーや訪問看護師に相談しましょう。
トイレに行けない時の排泄ケアはどうしたらいい?気になる方はこちらから⇩⇩
音・におい・人目への気兼ねを減らす
心理的なハードルを下げる工夫も、立派な便秘対策です。
排便中はできるだけドアを閉めるなど、プライバシーに配慮しましょう。ただし、転倒の危険がある場合は、ご家族が完全にその場を離れるのではなく、すぐに対応できる位置で見守ってください。においが気になる方には、消臭剤や防臭袋を用意しておくと安心材料になります。
また、においや音、人に知られることが気になると、便意を感じても我慢してしまう方がいます。必要に応じて環境を整え、安心して排便できるようにしましょう。失敗しても責めず、淡々と対応することも、次回の排便を我慢させないための大切な配慮です。
便秘の高齢者を介護するときのポイント

便秘のケアは、便を出すことだけが目的ではありません。排便状況の記録や尊厳への配慮、残っている力の活用、排便後のケアまで含めて考えることが大切です。
排便状況を記録する
排便のあった日付や時刻、回数、量、硬さ、下剤や浣腸の使用を記録しましょう。食事量や水分量、腹痛やおなかの張りもメモしておくと、医療者へ相談する際の判断材料になります。カレンダーに簡単な印をつけるだけでも構いません。
本人の羞恥心や尊厳に配慮する
排泄は、介助が必要になってもプライベートな行為です。必要な部分だけを露出する、下半身をタオルで覆う、ほかのご家族の前で排便について話さないなどの配慮を心がけましょう。安心して便意を伝えられる関係づくりにもつながります。
できることは本人にしてもらう
介助が必要でも、ご本人ができる部分まで代わりにおこなう必要はありません。トイレットペーパーを取る、衣服を上げ下げする、手すりにつかまって立つなど、できる動作は任せましょう。残っている力を活かすことが、身体機能を保つことにもつながります。
トイレで排便できない場合は排泄方法を見直す
トイレまでの移動が難しい場合は、ポータブルトイレや差し込み便器、おむつなどを状況に応じて検討します。ただし、おむつは便秘を改善するものではありません。安全に排泄できる環境を整える手段のひとつとして、生活に合った方法を選びましょう。
ポータブルトイレ使用時に便利な商品はこちら⇩⇩
ベッド上での排泄ケアに便利な商品はこちら⇩⇩
便が出たあとのおしりのケアも大切
便が皮フに長く触れると、赤みやかぶれにつながることがあります。排便後は汚れをやさしく取り除き、こすらずに拭き取りましょう。
必要に応じて保湿や皮膚保護剤を使うなど、身体や便の状態に合わせてケア用品を使い分けると、ご本人と介助者の負担軽減につながります。
ピジョンタヒラには、「トイレに流せるパッとおしりふき」や「やぶれにくいタイプのおしりふき」、「泡がやさしいおしり洗い」などがあります。排泄する場所や便の状態に合わせて使い分けると便利です。
やさしくふき取りケアができる泡タイプのおしり洗浄料はこちら⇩⇩
おむつかぶれについて知りたい方はこちらをチェック⇩⇩
こんな便秘は医療機関を受診しましょう
高齢者の便秘が命に関わるケースは多くありません。しかし、病気が隠れていたり、便秘に伴う嘔吐によって誤嚥を起こしたりする場合には、緊急の対応が必要になることがあります。ここでは、医療機関の受診を検討すべきサインを解説します。
強い腹痛がある
おなかを強く痛がる、触ると痛みが増す、痛みでじっとしていられないといった場合は、早めに受診してください。認知症などで痛みを言葉にできない方では、顔をしかめる、身体を丸める、落ち着かず動き回るといった様子が手がかりになります。
お腹の張りが強く、便もガスも出ない
おなかが強く張っているのに、便もガスもまったく出ない状態は、腸の通り道が塞がっている可能性があります。腸閉塞では緊急の対応が必要になることもあるため、様子を見ずに医療機関に相談しましょう。
繰り返し嘔吐している
便が出ない状態に加えて嘔吐が続く場合も、消化管の通過障害が疑われます。吐いたものが誤って気管に入ってしまうリスクもあるため、自宅で様子を見るのは避けてください。
血便がある
便に血が混じる、便器やおむつに血がつく、黒くタール状の便が出るといった場合は受診が必要です。硬い便で肛門が切れたことによる出血であることも多いのですが、それ以外の原因が隠れている可能性もあります。自己判断せず、便の写真を撮っておくと診察時に役立ちます。
急に便秘になった
これまで規則的に出ていた方が、急に何日も出なくなった場合は注意が必要です。新しく始めた薬の影響であることもあれば、腸の病気が背景にあることもあります。「いつから変わったか」を伝えられるようにしておきましょう。
体重減少など、ほかの症状を伴っている
便秘に加えて、体重が減っている、食欲が落ち続けている、発熱があるといった症状がある場合は、便秘以外の原因を調べる必要があります。「便秘だから」で片づけず、医師に一連の変化として伝えてください。
高齢者の便秘に関するよくある質問

在宅で介護をするご家族から寄せられることの多い疑問にお答えします。
Q1.高齢者は1週間排便がなくても大丈夫ですか?
排便回数には個人差があるため、「1週間出なければ必ず危険」と一律に判断することはできません。もともと週に2〜3回のペースで排便する方もいます。
ただし、普段と比べて急に排便がなくなった場合や、腹痛、おなかの強い張り、嘔吐、血便などを伴う場合は、日数にかかわらず医療機関へ相談してください。大切なのは「何日出ていないか」だけでなく、「いつもと何が違うか」を見ることです。
Q2.高齢者の便秘に効く食べ物はありますか?
「これを食べれば必ず便秘が改善する」という食品はありません。
食物繊維を含む食品としては、野菜、豆類、海藻、きのこ、果物、玄米や麦ごはんなどがあります。ヨーグルトや納豆などを食事に取り入れる方法もあるでしょう。
ただし、食事量そのものが少ない方に食物繊維だけを増やすと、食べられる量がさらに減ったり、おなかの張りが強くなったりする場合があります。食が細い方では、まず食べられるものを確保することも大切です。
Q3.高齢者の便秘には水をどのくらい飲めばよいですか?
必要な水分量は、すべての高齢者に共通するものではありません。体格や活動量、季節、持病、服用している薬などによって適した量が変わります。
特に、医師から水分制限の指示を受けている方は、自己判断で水分量を増やしてはいけません。「1日にどのくらい飲んでよいか」を主治医や訪問看護師に確認し、その範囲内でこまめに摂るようにしましょう。
Q4.便秘の高齢者に下剤を使ってもよいですか?
処方されている下剤は、医師から指示された用法・用量を守って使用してください。
一方で、「効かないから増やす」「昨日出なかったから多めに飲ませる」といった自己判断は避ける必要があります。下剤には複数の種類があり、身体の状態や持病、ほかの薬との組み合わせによって適したものが異なるためです。
効かない、毎回下痢になるなどの困りごとは、医師や薬剤師にそのまま伝えましょう。
Q5.高齢者の便秘にかんちょうは効果がありますか?
浣腸(かんちょう)は、便秘の状態によって用いられることがあります。ただし、高齢者では身体の状態や使用する製品によって注意が必要です。
自己判断で使用するのではなく、まず医師や看護師、薬剤師に相談してください。硬い便を指で取り除く「摘便」についても、ご家族が自己判断でおこなうものではありません。
訪問看護やデイサービスなどを利用している場合は、対応が必要になったときの相談先を確認しておくと安心です。
高齢者の便秘は原因を確認して対策しましょう

高齢者の便秘は、食事や水分だけでなく、活動量の低下や薬、病気など複数の原因が関係します。まずは排便状況を記録し、普段との違いを確認しましょう。強い腹痛や嘔吐、血便などがあれば、便秘の日数にかかわらず医療機関へ相談してください。
また、在宅介護では「便を出すこと」だけでなく、排便後の介助やおしりの清潔を保つことも大切なケアです。下剤による軟便や下痢、ベッド上での排便などでは、介助するご家族の負担が大きくなることもあります。
ピジョンタヒラの「ハビナース」シリーズには、トイレで使いやすいおしりふきや、ベッド上でも使いやすい洗浄用品など、排泄介助を支えるアイテムがそろっています。ご本人の排泄環境や介護する場面に合わせて取り入れ、毎日の排泄ケアの負担軽減に役立ててください。
<参考サイト・文献>
日本消化管学会/便通異常症診療ガイドライン2023
厚生労働省/2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況
公益財団法人長寿科学振興財/食物繊維の働きと1日の摂取量
厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント
大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟などで看護師として14年間勤務。主に、急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療や介護、看護に関わる記事の執筆や監修を行っている。
Contents
【看護師による在宅介護コラム】
▶vol.01 要介護認定から始める在宅介護の基礎知識~要介護認定の基準や申請方法・在宅介護について~
▶vol.02 【認知症介護】在宅介護のポイント!限界と感じやすい3つの理由も解説
▶vol.03 移乗介助―移乗介助の方法・ポイント・注意点などについて
▶vol.04 介護のおむつ交換の手順!9つの注意点や負担を軽減する方法を解説
▶vol.05 在宅介護でよくある5つの悩みとは?介護疲れの対処法と事例を紹介
▶vol.06 高齢者が眠れない原因とは?在宅介護でモーニングケアが大切な理由と基本手順
▶vol.07 要介護者に口腔ケアをする6つの目的!口腔ケアに必要な用品と手順も詳しく解説
▶vol.08 在宅で注意すべき高齢者の転倒とは?5つの原因と対策をご紹介
▶vol.09 高齢者の脱水症状を防ごう!脱水症状を起こす5つの原因と予防法
▶vol.11 【2025年版】在宅介護をする上での高齢者の防災対策|災害時に直面する課題と今すぐできる備え
▶vol.12 高齢者にスキンケアが必要な3つの理由!肌の特徴とトラブルを防ぐケア方法
▶vol.13 在宅介護における高齢者のむくみ対策!症状別の原因とケア方法を解説
▶vol.14 在宅でできる高齢者向けのレクリエーション全17選!目的と簡単にできるゲームも紹介
▶vol.15 介護保険と医療保険の違い4つ!費用の目安と訪問看護での活用をわかりやすく解説
▶vol.16 高齢者のおむつかぶれとは?5つの原因や対策、予防法、市販薬の注意点を解説
▶vol.17 高齢者の便秘とは?原因と6つの対策、受診の目安や介助のポイントを解説
【介護コラム】
▶vol.01 初めての在宅介護 基礎知識~在宅介護を始める前に~
▶vol.02 介護と介助の違いとは?介助の種類や方法、失敗しないポイント
▶vol.03 介護用品の選び方|在宅介護に必要なものと選び方のポイント
▶ⅴol.04 入浴介助の手順と注意点、必要な介護用品、入浴介助の方法などについて
▶vol.05 車椅子の選び方・使い方、車椅子の介助方法などについて
▶vol.06 清拭(せいしき)の手順について|全身清拭・部分清拭の注意点とポイント
▶vol.07 在宅介護で看取りをするために必要なこと、準備や心のケアなどについて
▶vol.09 排泄介助(トイレ介助)の手順と注意点とポイントについて
▽商品をお求めの方はこちらから(Amazonブランドストア)▽




