高齢者のおむつかぶれとは?5つの原因や対策、予防法、市販薬の注意点を解説

公開日:2026/08/26

介護 おむつ おむつかぶれ

「おむつを外したら、おしりが赤くなっていた」「交換のたびに痛がって、見ているこちらもつらい」

在宅介護のなかで、こうした皮フのトラブルに悩まされている方は少なくありません。高齢者のおむつかぶれは、尿や便の刺激、こすれなどが重なって起こります。しかし、これらは毎日のケアで予防できたり、症状を軽くできたりする可能性があります。

この記事では、看護師の視点から、高齢者のおむつかぶれの原因やできたときの対策、予防のコツをわかりやすくお伝えします。おむつかぶれの症状があり、対応に迷ったときの判断材料としてもお使いください。

高齢者のおむつかぶれとは?

おむつかぶれとは、おむつが触れる部分の皮フに赤みやかゆみなどの炎症が起きた状態のことです。「失禁関連皮膚炎(IAD:Incontinence Associated Dermatitis)」と呼ぶこともあります。

特に高齢者は、加齢によって皮フが弱くなっているうえ、横になって過ごす時間が長くなりやすいため注意が必要です。

高齢者のおむつかぶれの症状

おむつかぶれの症状は、初期の「赤み・ヒリヒリ」から、悪化すると「ジュクジュク・出血」へと段階的に進みます。早めに気付くために、初期のサインを知っておきましょう。

初期には、赤みや軽いヒリヒリ感、痛みなどがみられます。おむつ交換のときに痛がる、触ると嫌がるといった様子も、早いサインのひとつです。

悪化すると、皮フの表面がむけてジュクジュクした状態(びらん)になったり、透明な液(浸出液)がにじんだりして痛みも強くなるため、ケアのたびにご本人がつらい思いをしやすくなります。

さらに重くなると、真菌の感染を合併し、治療が長引く場合もあります。

おむつかぶれが起こりやすい部位

おむつかぶれは、尿や便が触れる場所と、蒸れやすい場所に集中して起こります。

具体的には、おしりや陰部、肛門の周囲など尿や便が付きやすい部分です。これらの部位は、排泄物が直接触れるため、刺激を受けやすくなります。

また、皮フと皮フが重なって蒸れやすい部分も要注意です。お尻の割れ目や足のつけ根などは、汗や尿がこもりやすく、空気が通りにくいため炎症が起こりやすくなります。

加えて、座っている時間や寝ている時間が長い高齢者は、体重による圧迫やこすれも加わりやすくなります。いつも同じ部位に負担がかかり続けることで、かぶれが悪化しやすくなる点にも留意しましょう。

床ずれ・あせも・真菌感染との違い

おむつかぶれと床ずれ・あせも・真菌感染を見分ける基本は、「症状があらわれる場所」です。おむつかぶれは排泄物が触れる範囲に広がるように、床ずれは骨が出っ張った部分に現れやすくなります。

それぞれの原因・出やすい場所・見た目の特徴を、下の表にまとめました。

種類          主な原因             起こりやすい場所見た目・症状の特徴
おむつかぶれ尿や便の刺激、蒸れ、こすれおしり・陰部・肛門の周囲・お尻の割れ目・足のつけ根など排泄物が触れる範囲排泄物が触れた面に沿って赤みが広がり、ヒリヒリ感やかゆみを伴う
床ずれ長時間の圧迫やずれおしりの中央(仙骨部)、かかと、太ももの付け根の外側(大転子部)など、骨が出っ張った部分骨の出っ張りに一致して赤みや傷ができ、圧迫を取り除いても赤みが消えないことがある
あせも汗の出口の詰まり汗をかいて蒸れやすい部分。足の付け根やおむつの中にもできる小さな水ぶくれや、赤いポツポツがあり、かゆみを伴うことが多い
真菌感染カビの一種の増殖皮膚のしわやくびれ、股、陰部など、湿って蒸れやすい部分赤みの周囲に小さなブツブツや、白いカス、皮膚のふやけがみられる

なお、ここで示した見た目や場所の特徴は、あくまで見分けの目安です。実際には複数のトラブルが重なって起こることもあり、見た目が似ていて判断が難しい場合も少なくありません。見分けがつかないときや、ケアを続けても悪化するときは、自分で判断せず医療機関を受診しましょう。

高齢者のおむつかぶれが起こる5つの原因

おむつかぶれがなぜ起こるのかを知っておくと、予防のポイントも見えてきます。ここでは、高齢者に多い5つの原因を整理します。

加齢による皮フのバリア機能の低下

年齢を重ねると、皮脂や汗の分泌が減り、皮フが乾燥しやすくなります。皮脂や汗は肌の表面で膜をつくり、うるおいを守る役割をしていますが、その働きが弱まってくるのです。

さらに、肌の一番外側にある角質層の水分を保つ力も低下し、外からの刺激を防ぐバリアの働きが弱くなります。

その結果、わずかなこすれや排泄物の刺激でも、炎症やかぶれが起こりやすくなります。高齢者の肌は「もともと刺激に弱い」という前提でケアを考えることが大切です。

高齢者の皮膚の状態

尿や便による化学的刺激

尿や便といった排泄物は、その成分自体が肌にとって強い刺激となります。

肌は本来、弱酸性に保たれることで守られていますが、尿が皮フに長く触れていると、アンモニアが発生して肌を刺激します。また、便には食べ物を分解する消化酵素が含まれており、これが皮フを傷つけて炎症を悪化させることがあります。なかでも下痢のときは、特に注意が必要です。

水っぽい便は消化酵素を多く含み、触れる範囲も広がりやすいため、短期間でも赤みやただれにつながることがあります。

おむつ内のムレと雑菌の繁殖

おむつの中は、体温と排泄物によって高温多湿になり、肌がふやけやすい環境です。プールに長く入ると指先がふやけるのと同じように、水分に長くさらされた肌はやわらかくなり、傷つきやすい状態になります。

こうして皮フのバリア機能が低下すると、よりダメージを受けやすくなります。

さらに、ムレた環境は細菌やカビが増えやすい条件でもあります。菌が繁殖すると感染症を引き起こし、症状が長引く原因にもなります。特に汗をかきやすい夏場は、ムレがひどくなりやすいため注意が必要です。

おむつを交換する際の摩擦やずれ

実は、皮フの「物理的なこすれ(摩擦)」もおむつかぶれの大きな引き金になります。

おむつを交換する際に汚れをしっかり落とそうとしてゴシゴシ拭くと、弱くなった皮膚の表面が傷つきやすくなります。よかれと思ったケアが、かえって負担になることもあるのです。

また、寝返りや体の向きを変えるときにおむつがずれてこすれが生じます。さらに、おむつのサイズが合わない場合も、こすれや締めつけの原因になります。

高齢者の栄養不足・脱水

おむつかぶれの原因は、排泄物や擦れといった「外からの刺激」だけではありません。栄養不足や脱水など、身体の内側のコンディションも肌の抵抗力を弱める大きな要因になります。

食事が十分にとれず低栄養になると、皮膚を新しく作り替える力が落ち、傷が治りにくくなります。さらに、水分が不足して脱水になると、肌が乾燥して刺激に弱くなってしまうのです。

高齢者の体内の水分量は約50%と、成人の60%と比べると少なめです。のどの渇きを感じにくいため、脱水になりやすい状態と言えるでしょう。

また、皮フの材料となるタンパク質や、ビタミン・亜鉛が不足すると、肌トラブルを悪化させる要因になると考えられています。

高齢者におむつかぶれができたときの対策

すでに赤みが出てしまっても、正しいケアで悪化を防ぎ、改善を目指せます。基本は「清潔にして刺激から守る」ことです。

排泄後はやさしく洗浄する

おしりの汚れは、こすらず「浮かせて落とす・押さえて取る」と皮フへのダメージを抑えられます。汚れを残さないことは大切ですが、落とし方にコツがあります。

排泄のあとは、ぬるま湯や泡タイプの洗浄料でやさしく汚れを落としましょう。熱すぎるお湯は肌のうるおいを奪うため、人肌程度のぬるま湯が向いています。泡で汚れを浮かせて落とすタイプは、こすらずに済むぶん肌にやさしいとされています。

また、タオルやガーゼで強くこすらず、押さえるように洗い、拭くことを意識してください。

濡れたままおむつを当てると、蒸れの原因になるため、水分を十分に拭き取り、しっかり乾かしてから次のケアに進むことが重要です。

▼ こすらず洗える・押さえふきに便利なアイテム

泡がやさしいおしり洗い

天然コットン100% 超吸水ドライタオル

洗浄後は保湿・肌保護をする

洗ったあとは、保湿と肌保護までがワンセットです。洗って終わりではなく、そのひと手間が肌を守ります。

洗浄後は、保湿剤で肌の乾燥を防ぎ、弱ったバリア機能を補います。乾いた肌は刺激に負けやすいため、うるおいを与えることが大切です。

さらに、皮フ保護剤を使うと、尿や便の刺激を受けにくくなります。肌の表面に膜をつくり、排泄物が直接触れないように守るイメージです。こうしたケアを排泄のたびに続けると、繰り返しの予防にもつながります。

▼ 洗浄後の肌保護に

スキンバリアクリーム

市販の軟膏は自己判断で使わない

市販の軟膏は、自己判断で使わないのが安全です。

おむつかぶれに似た症状でも、原因によって適した薬は変わるため、自己判断で薬を選ぶのは避けましょう。かぶれだと思っていたら実は真菌感染だった、というケースもあるため注意が必要です。

市販薬を使っても数日で改善しない場合は、受診しましょう。長引くときは、別の原因が隠れている可能性があります。

皮膚科を受診する

セルフケアで良くならないときは、早めに皮膚科へ相談しましょう。気になる症状を我慢して抱え込まず、専門家に診てもらうと安心です。

赤みが広がる、皮フがむけている、出血があるといった場合は、受診の目安になります。

見た目はおむつかぶれでも、真菌感染など別の病気が隠れていることもあります。

医師に診てもらうことで、原因に合った適切な治療につながるため、気になるときは相談してみてください。

看護師が現場でよく見かけるおむつかぶれの間違った対処法

在宅介護では、よかれと思ったケアが、実は逆効果になっていることがあります。ここでは、現場でよく見かける「やりがちなNG」を3つ紹介します。心当たりがないか、チェックしてみてください。

ゴシゴシこすって汚れを落とそうとする

「便をきれいに落としたい」という思いから、強く拭いてしまうのはよくある場面です。例えば、こんな拭き方をしていないでしょうか。

  • おしりふきで、同じ場所を何度もこする
  • こびりついた便を乾いたティッシュではがそうとする
  • 便が硬いときに力を込めて拭く

力を入れて拭くと、弱くなった皮フのバリア機能をさらに傷つけてしまうでしょう。

現場では、力任せに拭くのではなく、次のような手順でケアしています。まず泡タイプの洗浄料を汚れの上にのせ、10秒ほどおいて汚れをゆるめ、ぬるま湯を入れたシャワーボトルで洗い流すか、やわらかい布でそっと押さえるように取り除きます。

こすらずに「ふやかして落とす」ことがポイントです。こびりつきがひどいときも、時間をかけてゆるめれば、力を入れずに落としやすくなります。

市販薬だけで様子を見続ける

「おむつかぶれは、そのうち治るだろう」と自己判断し、受診が遅れてしまうケースは少なくありません。ドラッグストアで買った軟膏を1〜2週間塗り続けているうちに、赤みがおしり全体に広がってしまった例もあります。

また、真菌感染や床ずれなど、おむつかぶれ以外の病気が隠れていることもあり、市販薬を使い続けると悪化してしまいます。

2〜3日ケアしても改善しない、または悪化していく場合は、様子を見続けずに医療機関を受診してください。早めの相談が、結果的に早い改善につながります。

保湿やおむつ交換を見直さず薬だけに頼る

薬を塗っても繰り返すなら、原因はケア全体にあるかもしれません。「軟膏を塗ること」が目的になってしまい、根本の原因が見過ごされているケースがあります。

現場では、薬に頼るだけでなく、日々のケア全体を次のような視点で見直しています。

  • おむつのサイズは体に合っているか
  • パッドを何枚も重ねて蒸れていないか
  • 交換の間隔が空きすぎて濡れた時間が長くなっていないか
  • 拭くだけで済ませず洗浄と保湿ができているか

こうして見直すと、「軟膏は塗っていたけれど、実はパッドを重ねすぎて蒸れていた」というように、おむつかぶれを繰り返す原因が見つかることがあります。

洗浄・保湿・肌保護・適切なおむつ交換を組み合わせることが、改善には欠かせません。塗り薬は、あくまでその一部と考えましょう。

高齢者のおむつかぶれで使用されることがある薬

おむつかぶれに使われる薬は、症状や原因によって異なります。自己判断で使用せず、医師や薬剤師の指示に従って使いましょう。

ワセリン

ワセリンは、皮フの表面に膜をつくって水分の蒸発を防ぎ、乾燥から肌を守る保湿・皮膚保護剤です。

軽いおむつかぶれや、予防の目的で使われることがあるほかに、撥水性があるため、排泄物の刺激をやわらげる働きも期待されます。

ただし、炎症や感染がある場合には適さないこともあり、症状に応じた使い方が必要です。

アズノール軟膏

アズノール軟膏は、炎症を抑えて、皮膚の修復を助ける塗り薬です。

軽い炎症や、皮膚のただれがみられる場合に処方されることがあります。医師の診断を受け、症状に合わせて使うことが大切です。

亜鉛華軟膏

亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)は、皮膚を保護し、排泄物などの刺激から肌を守る働きがあります。

ジュクジュクした浸出液があるときや、肌を保護したいときに使われることがあります。

塗る量や使う期間は、医師や薬剤師の指示に従いましょう。合わない使い方をすると、かえって肌に負担がかかることもあります。

在宅でできる高齢者のおむつかぶれの予防法

おむつかぶれは、できてから治すよりも予防するほうが、ご本人も介護する方にも負担が軽くなります。ここでは、在宅で実践できる6つのポイントを紹介します。

おむつや尿とりパッドはこまめに交換する

予防の基本は、尿や便が肌に触れる時間を短くすることです。排泄後はできるだけ早く交換するようにしましょう。

近年は吸収力の高いおむつやパッドが増え、交換の回数は以前より減る傾向があります。ただし、失禁関連皮膚炎の観点からは、「便が出たあと」や「肌が濡れている時間」をいかに減らすかが重要と考えられています。 決まった回数にとらわれず、肌への負担という視点で交換のタイミングを見直すとよいでしょう。夜間についても、睡眠を妨げない範囲で、排泄の状況に応じて対応できると理想的です。

なお、失禁の量や回数が多い場合は、軟便用パッドを上手に使うと、パッドだけを交換すればよい場面が増えます。肌を清潔に保ちながら、介護する方の手間も軽くしやすくなるため取り入れてみてください。

肌をこすらず押さえふきする

拭き方を「こする」から「押さえる」に変えるだけで、刺激は大きく減らせます。排泄後は、汚れや水分を押さえるように取り、こすれによる負担を防ぎましょう。

このとき、泡タイプの洗浄剤を使うと、汚れを浮かせてやさしく落としやすくなります。反対に、乾いたタオルで強くこするのは避けたいところです。ちょっとした意識の違いが、かぶれの予防につながります。

適切に保湿剤を使用する

乾燥した肌は刺激に弱いため、うるおいを保つことが予防になります。

入浴後や排泄後に保湿剤を使い、肌が乾かないように整えましょう。保湿を毎日続けていくと、皮フのバリア機能を保ちやすくなります。

使う保湿剤や皮膚保護剤は、肌の状態に合ったものを選ぶことが大切です。デリケートな部分に使うものであるため、低刺激タイプを選ぶと安心です。

サイズの合ったおむつを選ぶ

体に合わないおむつは、それだけで肌トラブルの原因になります。

大きすぎるとすき間から漏れたりこすれたりしやすく、反対に小さすぎると締めつけで肌を圧迫してしまいます。体型や排泄の量に合ったサイズや種類を選びましょう。

通気性を保つ

蒸れを防ぐことも、大切な予防のひとつです。おむつの中に熱や湿気がこもらないよう、こまめな交換を心がけましょう。

あわせて、室温や湿度を快適に保つと、汗による蒸れを防ぎやすくなります。夏場は、エアコンや除湿を上手に活用してください。また、長時間同じ姿勢が続かないよう、枕やクッションを使って体の向きを変えることも、蒸れと圧迫の両方をやわらげるのに役立ちます。

バランスの良い食事を心掛ける

体の内側から肌を整えることも、見逃せないポイントです。なかでもタンパク質は、皮フの修復や再生に欠かせない栄養素です。肉・魚・卵・大豆製品などを無理のない範囲で取り入れましょう。

また、ビタミンや亜鉛を十分に摂取したり、こまめな水分補給も忘れないようにしたりすると、肌を守ることにつながります。

おむつかぶれの病院受診の目安と治療の流れ

おむつかぶれがセルフケアで良くならないときや、次のような症状があるときは、医療機関への相談を検討しましょう。

医療機関を受診したほうがよい症状

「数日ケアしても良くならない」「悪化している」ときが、受診を考えるサインです。

具体的には、赤みや痛みが数日続く場合が、受診を検討するタイミングになります。皮フがむけている、出血がある、膿が出ているなど感染が疑われる症状があるときは、早めに受診しましょう。発熱や強い痛みを伴う場合は、体全体に影響が及んでいることも考えられるため、様子を見ずに速やかに受診してください。

受診先は、皮フのトラブル全般を診てくれる皮膚科が基本ですが、かかりつけ医に相談するのもよいでしょう。通院が難しい場合は、訪問診療や訪問看護という選択肢もあります。

どこに相談すべきか迷うときは、ケアマネジャーに調整してもらう方法もあるため、一人で抱え込まずに頼ってみてください。

医療機関で行われる治療

治療はまず、おむつかぶれかどうかを判断するところから始まります。

医療機関では、皮フの状態を確認し、床ずれや真菌感染などほかの病気と区別します。見た目が似ていても、原因が違えば必要な治療も変わってくるためです。

そのうえで、症状に応じて保湿剤や皮膚保護剤などが処方されます。真菌の感染が疑われる場合には、抗真菌薬が使われることもあります。

看護師が実践しているおむつかぶれの観察ポイント

看護師が見るポイント

おむつかぶれを悪化させないためには、毎日の観察が早期発見につながります。ここでは、現場でよく行われている観察のコツを紹介します。ご家庭でも取り入れやすいものばかりです。

赤みの広がりを確認する

「昨日と比べて広がっていないか」を見るのが、観察のポイントです。おむつ交換のたびに、同じ部位を毎日チェックする習慣をつけましょう。

現場では、おしりや肛門周囲を見るときは横向き、陰部を見るときは仰向けというように体位を変えて見落とさないようにしています。皮フが重なった部分は赤みが隠れやすいため、そっと広げて確認するのがコツです。

また、左右を比べて観察するのがおすすめです。たとえば、「右のおしりだけ赤い」という場合、いつも右を下にして寝ているなど圧迫やこすれのヒントになります。

変化に気づきにくいと感じるときは、本人に許可をもらった上で写真を撮っておくとよいでしょう。前日の写真と見比べれば広がりが一目でわかり、受診のときに医師へ状態を伝える材料にもなります。

湿潤や浸出液の有無を確認する

赤みが「乾いているか、ジュクジュクしているか」で進み具合が変わります。表面が湿ってふやけたようになっていたら、赤みより一歩進んだサインかもしれません。

注意して見たいのが、皮フの表面からにじみ出る液や、いつもと違うにおいです。現場では、おむつを開けた瞬間の「あれ、いつもと違うにおいがする」という気付きが、感染を早く見つけるきっかけになることがあります。黄色っぽい液がついている、赤みの範囲が急に広がったといった変化もあわせて確認しましょう。

こうしたサインに気づいたら、これまでのケア方法を見直したり、受診を検討したりすることが大切です。

排泄パターンと合わせて観察する

肌の状態は、排泄の状況と合わせて観察すると原因が見えてくる可能性があります。「今日は赤みが強いな」と感じたら、その日の排泄を振り返ってみましょう。

たとえば、下痢が続いた日は肌への刺激が増え、赤みが強く出やすくなります。尿の量が多く、濡れている時間が長かった日も、蒸れや刺激が増えがちです。

排泄の回数や便のかたさ、交換後の肌の様子を簡単にメモしておくと、「今日のケアで足りていたか」を振り返る材料になります。こうした記録の積み重ねが、ケア方法の改善につながっていきます。

高齢者のおむつかぶれに関するよくある質問

Q&A

ここでは、高齢者のおむつかぶれに関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。在宅でのケアのヒントにしてみてください。

Q1. おむつかぶれはワセリンで予防できますか?

ワセリンは予防の助けになりますが、それだけで防ぎきれるわけではありません。ワセリンは撥水性があるため、排泄物の刺激をやわらげる目的で使われることもあります。

ただし、ワセリンの働きは主に肌の表面にフタをすることが中心です。乾燥が強いときは、まず保湿剤でうるおいを与えてから、その上をワセリンで守るといった使い分けが向くこともあります。

すでに赤みやかゆみなどの炎症が強く出ている場合は、ワセリンで自己対応しようとせず、医療機関に相談しましょう。

Q2. おむつかぶれに市販薬は使ってもよいですか?

軽い症状なら市販薬が使えることもありますが、自己判断で使い続けるのは避けましょう。症状によっては、かえって悪化させてしまうことがあるためです。

真菌の感染が隠れているケースで薬の種類を誤ると、かえって悪くなることがあります。かぶれだと思っていたら真菌感染だった例も少なくありません。

症状が長引くときは、市販薬では対応できない別の原因が隠れている可能性があるため注意が必要です。

Q3. おむつ交換は何時間ごとに行えばよいですか?

「◯時間ごとにおむつを替える」と決めるより、排泄の状況に合わせて交換することが重要です。

夜間は、睡眠を妨げすぎないことと、肌を守ることのバランスが悩ましいところです。無理に何度も起こす必要はありませんが、吸収力の高いパッドを活用するなどして、肌が濡れ続ける時間を減らす工夫を取り入れましょう。

おむつかぶれ予防には毎日の介護用品選びも大切

おむつかぶれ予防の基本は、「こまめに交換し、やさしく洗い、洗ったあとに保湿して肌を守る」という毎日の積み重ねです。

ただし、手間がかかると続けにくく、それが肌トラブルにつながることもあります。大切なのは、ケアを「続けやすくする」ことです。

ピジョンタヒラ株式会社には、こすらず洗える「泡がやさしいおしり洗い」や、洗ったあとの肌を守る「スキンバリアクリーム」など、在宅でのおしりケアを助けるアイテムがそろっています。毎日の負担を少し軽くすることが、ご本人の肌を守ることにつながります。おしりケアや排泄まわりの用品は、ピジョンタヒラの商品ページもぜひご覧ください。

<参考サイト>

谷口英喜ら, 高齢者介護における体液管理. Fluid Management Renaissance. 6(4)339-347,2016.

厚生労働省 eJIM/亜鉛

一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会/IADベストプラクティス

プロフィール
西川正太(看護師/保健師)
大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟などで看護師として14年間勤務。主に、急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療や介護、看護に関わる記事の執筆や監修を行っている。
 

Contents

【看護師による在宅介護コラム】

▶vol.01 要介護認定から始める在宅介護の基礎知識~要介護認定の基準や申請方法・在宅介護について~

▶vol.02 【認知症介護】在宅介護のポイント!限界と感じやすい3つの理由も解説

▶vol.03 移乗介助―移乗介助の方法・ポイント・注意点などについて

▶vol.04 介護のおむつ交換の手順!9つの注意点や負担を軽減する方法を解説

▶vol.05 在宅介護でよくある5つの悩みとは?介護疲れの対処法と事例を紹介

▶vol.06 高齢者が眠れない原因とは?在宅介護でモーニングケアが大切な理由と基本手順

▶vol.07 要介護者に口腔ケアをする6つの目的!口腔ケアに必要な用品と手順も詳しく解説

▶vol.08 在宅で注意すべき高齢者の転倒とは?5つの原因と対策をご紹介

vol.09 高齢者の脱水症状を防ごう!脱水症状を起こす5つの原因と予防法

▶vol.10 高齢者の寝たきり介護の基本と実践ケアのコツ

▶vol.11 【2025年版】在宅介護をする上での高齢者の防災対策|災害時に直面する課題と今すぐできる備え

▶vol.12 高齢者にスキンケアが必要な3つの理由!肌の特徴とトラブルを防ぐケア方法

▶vol.13 在宅介護における高齢者のむくみ対策!症状別の原因とケア方法を解説

▶vol.14 在宅でできる高齢者向けのレクリエーション全17選!目的と簡単にできるゲームも紹介

▶vol.15 介護保険と医療保険の違い4つ!費用の目安と訪問看護での活用をわかりやすく解説

▶vol.16 高齢者のおむつかぶれとは?5つの原因や対策、予防法、市販薬の注意点を解説

【介護コラム】

▶vol.01  初めての在宅介護 基礎知識~在宅介護を始める前に~

▶vol.02  介護と介助の違いとは?介助の種類や方法、失敗しないポイント

▶vol.03  介護用品の選び方|在宅介護に必要なものと選び方のポイント

▶ⅴol.04  入浴介助の手順と注意点、必要な介護用品、入浴介助の方法などについて

▶vol.05  車椅子の選び方・使い方、車椅子の介助方法などについて

▶vol.06  清拭(せいしき)の手順について|全身清拭・部分清拭の注意点とポイント

▶vol.07  在宅介護で看取りをするために必要なこと、準備や心のケアなどについて

▶vol.08  食事介助の手順と注意点とポイントについて

▶vol.09  排泄介助(トイレ介助)の手順と注意点とポイントについて

 

▽商品をお求めの方はこちらから(Amazonブランドストア)

Amazonブランドストア