【はじめませんか?口腔ケア】お口を健康にして、いきいきとした生活を

お口の働きを支える口腔ケア

お口の働き

食べる・話す・笑う・呼吸するなど、お口にはさまざまな働きがあります。私たちが普段無意識に行っている、これらの動作を司る筋肉や反射神経などの機能は、年齢と共にだんだん低下していきます。お口をよく動かし、きれいな状態に保つことは、お口の働きの維持につながります。

口腔ケアとは

お口の持つすべての働きを保つための、日常的なお手入れのことです。私たちの生活全般に関わり、人とのコミュニケーションを広げ、いきいきとした生活を送るために大切です。

イラスト:口腔ケア

※誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
本来食道に流れるべき食物や唾液が誤って気管に入り、それが原因で起こる肺炎。
通常は誤嚥をしても、大きいものは咳で、小さいものは気管の繊毛運動で排出することができます。
しかしその力が弱いと排出しきれず、肺炎を起こす要因になります。
口腔ケアが不十分だと・・・
  • ●お口の中が汚れ、細菌が増えます
  • ●唾液が出にくくなります

問題発生!「口臭・虫歯」「食べづらい」「話しづらい」「誤嚥性肺炎」

肺炎は日本人死亡原因の第3位。高齢者の肺炎70%以上が誤嚥に関係していると言われています。

参 考
厚生労働省
「平成26年人口動態統計月報年計(概数)の概況」 一般社団法人日本呼吸器学会
「市民の皆様へ 呼吸器の病気 A-11 誤嚥性肺炎」
口腔ケアの前に
  • ・ホットタオルで顔をきれいにふきましょう。
  • ・鼻呼吸しやすいように、鼻の穴の汚れも取り除きましょう。
お口の中をチェック!※入れ歯がある場合ははずして観察します。
お口以外もチェック!
・口元の表情(笑顔)は豊かですか
・発音ははっきりしていますか
・声は枯れていませんか
・入れ歯をはずした時に食べ物がついていませんか
こんな時は要注意!
・いつもより元気がない。顔色が悪い。
・体温、脈拍数がいつもと大きく異なっている
・目が覚めていない、嫌がっている
・ぐらぐらした歯がある
・口内炎、出血、傷がある

いつもと違う時には、かかりつけの主治医に相談し、歯科を紹介してもらいましょう。

※訪問歯科診療
 自宅を訪問し、歯科治療、入れ歯の調節、薬の処方などをしてくれる歯科医が増えています。
 通院が難しい方は、利用してみるとよいでしょう。
 参考:摂食嚥下関連医療資源マップ

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お口の中、潤ってますか?

健康なお口は、分泌される唾液が清潔を保っています(自浄作用)。また、唾液はお口や舌の動きをなめらかにします。

唾液の働き

  • ・かんだ食べ物をまとめて、飲み込みやすくします
  • ・食べ物の味の元となる物質を溶かし、舌が味を感じやすくします
  • ・食べ物のカスを洗い流して、お口の中を清潔に保ちます
  • ・舌やお口の動きをなめらかにして、話しやすくします
  • ・かんだ食べ物を唾液の酵素が分解し、消化・吸収しやすくします
  • ・抗菌作用により、虫歯を防ぎます

どうしてお口が乾燥するの?生活背景からのチェックポイント

水分が足りない ・トイレを気にして水分を控えている
・発熱や気温の上昇で汗が多い
・部屋の中が乾燥している
お口を動かすことが少ない ・食事量(回数)が減った
・食事に柔らかいものが増えた
・話したり歌ったりすることが減った
口呼吸をしている ・鼻汁などが固まって鼻呼吸ができない
・枕が低く頭が落ちてお口が開きやすい
お口が渇く副作用のある薬を服用している
お口が乾燥するとどうなるの?
  • ●お口や舌の動きが悪くなります
  • ●舌苔(ぜったい)がたまりやすくなります
  • ●汚れが固まって取れにくくなります

「話しづらい」「味を感じにくい」「傷つきやすい」


  • 潤って舌苔のない舌

  • 厚い舌苔に覆われた舌
  • これが舌苔。下の表面につく汚れです。食べかたす・唾液・えんまくなどの混ざり合った固まりで、細菌が多く含まれます。口臭の原因にもなります。

お口を潤すためには?

  • お口をよく動かしましょう
    (おしゃべり、カラオケ、食事はよくかむ、など)
  • こまめに水分を摂りましょう
    (果物やゼリーなどをおやつにしてもgood!)
  • 湿度を保ちましょう
    (ぶくぶくうがいをする、加湿器を使う、マスクをする、など)
  • 唾液が出やすくなるマッサージをしましょう
    (唾液腺をやさしく圧迫して刺激します)
  • 乾燥を防ぐお口の中専用の保湿剤を利用しましょう

*むせやすい人は、誤嚥しないよう十分注意してください。

特別なことではなくて、日常生活で気をつければできることなんです。

唾液腺マッサージ

耳下腺(じかせん)
耳たぶのやや前方上の奥歯のあたりを、指全体でやさしく押す

顎下腺(がっかせん)
あごの骨の内側の柔らかい部分を、指先でやさしく押す

舌下腺(ぜっかせん)
下あごの先のとがった部分の内側から、舌を押し上げるように指先でやさしく押す
保湿ケア用品を使ってみましょう
スポンジブラシと保湿剤

スポンジを水でぬらし、絞ります。 → 保湿剤を乗せます。 → お口全体に薄く塗ります。

※保湿剤は、汚れを除去する前にも使用します。乾燥して硬くなった汚れは、無理にはがすと痛みや出血をともなうことがあるので、加湿してやわらかくしてから除去します。

口腔用ウェットティッシュ

ティッシュを指に巻きつけます。 → 奥から手前にやさしく拭き取ります。上あご、くちびると歯ぐきの間も忘れずに。

※歯や歯ぐきのヌルヌルした汚れを除去するときにも使用します。

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口腔ケア 4つのステップ

口腔ケアに必要な用品を準備して、毎日継続して清潔を保つケアを行いましょう。正しい口腔ケアは、誤嚥性肺炎を予防するためにも有効です。

ケア用品を選ぶときに

お口の状態に合わせて、使いやすいものを選びましょう。

スポンジブラシ
スポンジの大きさ、形状、かたさがいろいろあります。
お口の状態に応じて選びましょう。
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歯ブラシ・舌ブラシ
扱いやすいのは、柄を握った時にフィットする太さのもの。
ブラシの大きさ・かたさなど、歯や歯ぐきの状態に応じて選びましょう。
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歯みがき粉
ムセ予防(泡立ちが少ない)、虫歯予防(フッ素配合)、歯周病予防などの目的に応じて選びましょう。
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口腔用ウェットティッシュ
爽快感があるのはアルコール配合、刺激が少ないのはノンアルコール。
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保湿剤
保湿効果、使用感、香りなどの好みに応じて選びましょう。
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4つのステップ

4つのステップで、口腔ケアをはじめてみましょう。

  • 【ステップ1 潤す】くちびるやお口の中を潤して、固まった汚れを落としやすくします。
  • 【ステップ2 みがく】食べかすや痰の乾いたものが溜まりやすいので、歯、粘膜、舌もやさしくみがきます。
  • 【ステップ3 除去】ケア直後のお口は細菌でいっぱい。飲み込まないように、残った汚れを奥から手前に取り除きます。
  • 【ステップ4 保湿】歯ぐきをマッサージしながら、お口全体を保湿します。乾燥しがちなお口に潤いを与えます。

飲み込まないように奥から手前に行いましょう。

ワンポイントアドバイス
認知症の方へのケア
認知症は、いわゆる物忘れ以外にも見当識障害・注意障害という症状が出るようになります。そのため、目の前の人がどのような人かすぐにわからなかったり、人が突然現れたように感じることがあります。
いずれの場合も、ゆっくりと本人の視界に入る位置で近づいていき、ゆっくりと落ち着いた話し方で、ケアを始めることを伝えましょう。
飲み込む力が低下している方へのケア
唾液やうがいの水を誤嚥しないように、姿勢や上体を起こす角度、顔の向きなどに注意しましょう。
あごが上がって口が開きがちな方へのケア
円背(猫背)の方などに多く見られる、あごが上がって口が開きがちになる姿勢は、口の乾燥や誤嚥を起こしやすくなります。車椅子に座ったり、ベッドで上体を起こしたりするときには、頭の後ろにクッションやタオルをはさみ、あごが上がりすぎないような姿勢を保てるよう調整しましょう。
お顔に触れるときの心遣い
手が冷たいと嫌がられます。あたためてから触れるようにしましょう。
唾液の分泌を促すコツ
肩をもんだりホットタオルで顎をあたためたりして、リラックスした状態(心地よい状態)から始めると唾液が分泌されやすくなります。
保湿剤を使うコツ
保湿剤は、塗りすぎると固まって硬くなってしまい、汚れ同様、取り除くことが必要になってしまいます。また、はがれたかたまりを誤嚥してしまう危険性もあります。「盛る」のではなく適量をとり、ハンドクリームをつけるように、なくなるまでやさしく「塗りこむ」ようにしましょう。

口腔ケアは、いつまでも安全に楽しく食事や会話を楽しむためのケアです。潤いのある清潔なお口を保つために、毎日のケアを欠かさずに行いましょう。

監修:戸原 玄(とはら はるか)先生

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系専攻
口腔老化制御学講座高齢者歯科学分野 准教授。臨床、研究、書籍の執筆・編集、講演活動など多方面で活躍。厚生労働科学研究委託費長寿・障害総合研究事業の「高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括ケアについての研究」を通して開設した「摂食嚥下関連医療資源マップ」が注目されている。